ボクの結婚式でもカメラマンを買って出てくれたKさんが
久しぶりに我が家に遊びに来てくれました。

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何度か書いてますがKさんは数年前に失明しました。
いまではぼんやり陰影を感じることしかできないようです。

そして去年、腎臓を壊し、いまでは二日に一回、
人工透析治療を受けています。

目黒の大鳥神社近くに住むKさんを車で迎えに行きました。
「4ヶ月入院していたので、とにかく筋肉が全部なくなっちゃいました。
ボク、いま倒れても自分の力で起き上がれないんです」

とKさん。
普通の人より転倒することが多いはずですが
そのうえ立ち上がることすら困難なのですから
いかに普段の生活が大変か容易に想像できます。 

家の前に着いたら、Kさんに手を差し伸べて、安全な場所で立たせ、 
駐車場に車を停めます。

家の前でぼんやり上を見ているKさんには
以前遊びに来てもらった家と
違いが実感できているのでしょうか。

階段の多い我が家にあがってもらい、
うちの家族と久々の対面。
うちの子はまだ赤ちゃんだったので
まったく覚えていません。

5歳のうちの子は、目の見えない人の
独特の所作を不思議そうに不安そうに見ています。


Kさんは子どもが大好きです。

ほとんど見えないはずなのに
映画館によく足を運ぶそうで、
「かんちゃん、こないだのポケモンの映画面白かったでしょう?
おじさんも観に行ったんだよ」
とKさん。
うちの子は嬉しそうにポケモンの本を持ってきて、
「このポケモン出てたよね!」
というと、ボクが、
「いやいや、見えへんねんって(笑)」
と言うのですが、
やはりその後もスマホでポケモンを検索して、
「ねぇねぇ、これ見てぇ!」
の繰り返し。
でもKさんは子どもと喋る機会がほとんどないそうで
とても嬉しそうです。

「目が見えないとか腎臓がぶっ壊れたとか
そんなのはいまさらどうでもいいんです。
ただ、子どもは作っておけばよかったなと思ってます」

とポツリと呟きました。
「うーん」
と言ったまま、ボクは何も言えませんでした。

Kさんは人と話すのが大好きなので
特にうちの奥さんに一生懸命ファッションの話なんかをしていました。
ボクはその間、あくびばっかりしていました。

まだまだ話したりなさそうだったのですが、
「さ、暗くなる前に帰りましょう」
と強引に割って入って、Kさんを車に乗せました。

我が家では楽しそうに話していましたが
車のなかでは、病院で他の患者から受けている嫌がらせや
次の職場での不安をずっとこぼしていました。 


「Kさんも頑張ってるんだからオレも頑張ろう!」
「はぁ、オレはなんだかんだいって幸せなんだな」
なんてボクは思っているのでしょうか。
それすらよくわかりません。

ただ、うちの子にはKさんが来る前に、
「お父さんの友達は目が見えへんねん。
でもな、色んな人がおるから仲良くしたってな」

とは言いました。 

それは本当の気持ちです。 
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