昨日の話。
おもちゃ屋にて。

カンタローは『トイ・ストーリー』が大好きだ。
棚の前で
「ばぶー、ばぶー」
と言い出すのでなにかと思ったら、
バズ・ライトイヤーの小さいフィギュアがあり、
それをむんずと掴んだ。
「えー、それ、持ってるじゃん」
と奥さん。
「そうかいな。カンタロー、それ、ないないして、
違うのにしよ?」
「ばぶー!」
絶対に手放さない。
10分経過。

「な、カンタロー、他のにしよう?」
色んなぬいぐるみやおもちゃを見せるが
見向きもしない。
こっちもさすがに同じ物を買わされるのは抵抗がある。
とはいえ、このままずっとお店で右往左往してるのも疲れてくる。
「もう、買うしかないのか……」
と思ったところ、
カンタローはバズのフィギュアを元の棚にそっと置いたので
僕らは心のなかでガッツポーズをとった。
が、喜びもつかの間で、
カンタローはその隣のロッツォを掴んだ。
「え、ロッツォ?」
と奥さん。
「カンタロー、それは悪役やぞ。悪役を使いながら遊ぶのはかなり高度やぞ」
と諭すも、カンタローはロッツォに気が変わったようだ。
「ま、ええか。同じ物を持ってるわけじゃなし」
と安心したところで、カンタローはなんと
ロッツォをもう一つ掴んだ!
「いやいや、二個って! 同じの二個はいらんやろ!」
しかし、両手にロッツォを持ってご満悦のカンタローは
一つを棚に戻す気はさらさらない。
無理矢理戻そうものなら号泣すること必至だ。
僕らは一日中出歩いてくたくた。
早く帰りたい。
「状況はより悪くなった……」
「ロッツォ、二個はいらん。
それなら同じバズでもさっき一個買っておけばよかった」
もうその時点でゆうに30分は超えている。
疲労困憊だ。

二個のロッツォを両手で高々と掲げるカンタロー。
もうすべてを諦めてレジへ向かおうとしたその時、
トイ・ストーリーのミニカーを発見!
やおらそのミニカーを手に取り
カンタローの目の前に見せつけ、
「カンタロー、こ、これでどうや?」
数秒間、じっとミニカーを見つめるカンタロー。
まさに固唾を呑む一瞬だ。

「ブーブー!」
と言ってミニカーを手に取るカンタロー!
やった!
よくやったカンタロー!
「よしよし、いいぞ、カンタロー!
すぐ、レジに行こう!」
といって無事購入、店を出たわけだが、
「しかし、これ、カンタローの思う壺やったな……」
「なんて交渉上手なのかしら」
「俺、こてんぱんにされた気持ち……」

相手に対し、最大限の要求を突きつけ、
長期戦に持ち込み、
相手をギリギリまで追い込んだところで
そっとハードルを下げてやる。
そうすると相手は条件を飲むどころか
感謝すらしてくるのだ。

つまるところビジネスは交渉、駆け引きだ。

カンタロー先生、勉強になりましたっ!






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