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子どもと一緒にいると見知らぬ人に声を掛けられることが多い。
特にカンタローは愛想よしなのでなおさらだ。

今日はカンタローと二人で長時間公園にいた。
至福のときだ。

まず声を掛けてきてくれたのは女子高校生。
「なに、この子、超かわいい!
てか、目がやばい!」
将来犯罪に手を染める予感がするということなのだろうかと
一瞬考えたけど、
その前にかわいいって言ってくれてるので
きっと褒め言葉なのだろう。

続いてはご老人、男性。
ちょうどカンタローが走り回っていてぽてっと転んだ瞬間だったのだけど、
「おー、自分で立てよぉ。
三つ子の魂百までって言うからねぇ」
このブログで書いているように
僕はかなり子どもにベタベタのデレデレなのだけど、
そこは気をつけているつもりだ。
でも、そういうことを言ってもらえるのって嬉しいことだ。

次は6歳のボク。
カンタローがその子の自転車に
機関車トーマスのベルがついていたので
それを触ろうとして、僕が、
「カンタロー、お兄ちゃんのやからアカンで」
というと、
「赤ちゃんだもん、触っていいよ」
と言ってくれた。
じんと来る。
その6歳のボク、じーっとカンタローの顔を見て、
「ねぇ、どうしてこの子はこんなに歯が抜けてるの?」
わははは。
子どもって面白いなぁ。
生え揃っていないカンタローの口を見て
抜けてるって思ったんだ。
「ちがうよ、この子はこれから歯が生えてくるねんで」
「ふーん」
「ちなみにね、おじさんの後輩に阿修羅チョロってのがいるんだけど、
そいつは40歳でガチに歯がほとんど抜けてるんだ。
なぜかって?
それは虫歯とアロンアルファの多用によってね……」
はい、もちろん、「ちなみに~」のくだりは嘘ですけどね。

さて、帰ろうかと思ったところで
大きな犬を連れたご老人、男性が公園にやってきた。
「わんわん、わんわん」
カンタローが喜んで近寄っていく。

「こんにちは、この犬はなんて種類なんですか?」
僕から声を掛ける。
「この子はシベリアンハスキーとゴールデンレトリバーのあいのこです」
もう十分に大きい成犬だ。
「この子は福島から来たんです」
「福島?」
「被災者の方が飼ってらしたのを私が引き取ったんです」
「お知り合いとか?」
「いえ、ちがいます。
この子は20キロ圏内で被災して、
やむを得ず一ヶ月はそのまま放されていたそうです」
「……」
「そこでボランティアのかたがこの子を救助して、
世田谷まで連れてきたんです。
そんな犬はたくさんいたそうです。
それで小さい犬はわりと早くみんな貰い手が見つかったみたいなんですけど、
この子は大きいので、しばらくずっと檻の中にいたんですね。
それで私が引き取ることにしました」
「……そうなんですか。
飼い主さんは見つかったんですか?」
「はい、見つかりました。
しかし、あちらも被災されていて、
いまその余裕はないそうで、
そのまま私が面倒をみてるんです。
去年の6月からです」
「……おやさしいですね」
と言うのが精一杯だった。

僕はずっと実家で犬を飼っていたけど、
成犬を貰い受けるというのは
本当に大変なことだ。
大型犬ならなおのこと。

それを引き取って飼っているというのは
本当に頭が下がる。

僕は「やさしい」以上のボキャブラリーがなかったし、
表現力もなかった。

自分がそれだけ他人に親切にしたことがないから
自分の言葉で返すことができないのだ。

恥ずかしいことだと思う。

しかし、こんな出会いがあったのも
すべてはカンタローの引力だ。

やっぱり赤ちゃんは凄い。
スーパースターだ。

そしてみんな誰しも、肩書きは元赤ちゃんだ。
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