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うちの頭のちょっと薄いプロデューサー、Sが
会社でスタッフに対し説教を垂れていた。

「お前な、いつもつまんない自慢ばっかりしてるけどさぁ、
そういうのって他人が聞いてどう思ってるか
わかってんの?
相手の気持ちを考えろよ!」

ずっと聞いていたのだけど、
ボクはついにカチンときて
Sを呼びだした。

「いや、お前な、人に自慢すんな自慢すんなって
さっきから言うてるみたいやけどな、
お前にそれを言う資格があるんか!?」
かなり強い口調だ。
なぜならSはよくボクなんかに対しても、
「ボクは人脈がある」
「●●の偉い人と仲がいいんです!」
とうっとおしいほどアピールしてくる。
Sはとにかく“人脈自慢”が鼻につく男なのだ。

「人に自慢ばっかりして嫌な気持ちにさせてるのは
お前ちゃうんか!?」
「ボ、ボクって自慢してますか?」
最悪だ。
自覚がないのだ。
しかし、ボクがまじめな顔して詰問しているので
目は泳ぎ、冷や汗をかいている。

「俺に怒られるだけじゃなく、自分で考えろ!
さぁ、お前はなにを自慢してるんや!」
「ボ、ボクが自慢して人を嫌な気持ちにさせていること……」
「そうや!」
しばらく沈黙が続く。
久しぶりに怒られているので
Sはかなり追いつめられているようだ。

そしてSは重い口を開いた。
「……すいません、原さん。
わかりました。
原さんを嫌な気持ちにさせているボクの自慢が……」
「そうか。わかったか」
「あの、言いにくいんですが、原さんはちょっとボクが羨ましいという気持ちが
おありになる部分もあって、余計に怒っておられるのかと……」
ん?
どういう意味や?
このボクがSの人脈が羨ましい?
ボクの言葉に怒気がこもる。
「ちょっと待て、お前、俺は俺なりに
色々持ってるぞ。
お前、調子に乗りすぎちゃうんか?」
「す、すいません、ボク、言葉を知らなくて変なこと言っちゃって。
ただ、原さんがそんな色々持っておられるようには見えなかったので……」
完全に見くびられている。
こんなこと言いたくはないが、
ボクもそれなりに顔が広いということを自負している部分もある。
Sとは被らない人脈かもしれないが
自分だけが人脈があって、ボクにないと考えること自体、
相当不遜な考えだ。
ボクの怒りは頂点に達した。
「お前、ええ加減にせぇ!
それは俺にも失礼なんちゃうか?
そうやって人を知らず知らずのうちに不愉快にさせてるんちゃうんか?
ちゃんと反省しろ!
ほんで俺に謝れ!」
顔面蒼白のSは小刻みに震えながらこう言った。
「ボクがたくさんセフレがいることを自慢してしまって
本当に申し訳ございませんでした…」
「知らんがな! そんなもんうらやまし……くないわ、アホ!」

そんな昼休みでした。
おしまい。

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