こないだは「全然褒められたことがない」と嘆いてみたけど、
今度は褒める側の話。

会社でもだんだん後輩が増えてきたり、
私生活では子どもが生まれたりで
こんなボクでも人を指導する立場になってしまった。

そこで大事なのは「いかに褒めるか、どのように褒めるか」なのだけど、
残念ながら社会に出てからというもの、
褒められて育てられていないので
なかなかいいお手本がいない。

考えてみれば褒めるというのは難しい。
もちろん、その人のいいところを見つけて伸ばすということなのはわかっているのだけど、
馬鹿な若手を
「キミ、才能あるねぇ!」
なんて言ってたら、
「原さんの言葉は説得力ないなぁ」
と周りに思われてしまう危険性がある。
それはそれでマズイ。

ここ数年、そんなジレンマをずっと抱いていた。

で、ボクの友人がある人に、
「この人、業界の坂本龍馬だから!」
と紹介されたという話を聞いて、
「そういうことか!」
と膝を打った。

ボクは他人を褒めるということはずっと“評価を下す”ことだとずっと思っていた。
だからボクも自然と慎重にならざるを得ないし、
そもそも、短期間で人間を見極めるなんて
誰でもできるわけがない。

でもそうじゃなかったんだと。

人を褒めるということは
実は“キャッチフレーズをつけるということ”なのだ。

たとえばボクの友人を差して
幕末の志士にたとえるなんて
さすがにそれは大げさかもしれない。
しかし、友人の幅広い人間関係というリアリティーについて
その人はそれを“業界の坂本龍馬”と名付けたのだ。
実に景気のいいネーミングセンスではないか。
言われた方も嬉しいし、
それを又聞きしたボクも楽しくなってくる。

そんななか思い出したのが
ボクが『紙のプロレス』にいた時、
糸井重里さんに
「タコヤキ君はビルを建てる男だ」
と言われたことがある。

天下の糸井さんにそんなことを言われたボクは舞い上がりまくり、
その日を今か今かと待っていたのだけど、
ビルはおろかいつまでたっても借家住まい。

しかし、これも糸井さん流のキャッチフレーズだと思う。
ボクになにか才能を見出したとかそんなのではない。
たぶん、ボクが現場でニコニコしていたとか
そんな程度のことだと思うけど、
それを糸井さんは思い切り景気よく
“ビルを建てる男”と口にしたのだ。

要するに、他人を褒める時にそんなに慎重にならずとも、
ちょっと小粋な、ちょっと笑えるキャッチフレーズをつけるつもりで
気持よく言い放てばいいのだ。

「こいつ、うちの会社のエース候補なんですよ」
「キミは元気だね! さしづめ“人間発電所”だな」
「かねがねキミは“不沈艦”だと思っていたよ!」

そんなの、不沈艦って言われて嬉しくない人間がいるだろうか?
いやいない!
言った方も気持ちがいいよ、不沈艦なんて。
声に出した時点で気持ちいい。

何度も言うけど、褒めるということは
他人に対して点数をつけることではない。
いや、むしろ、点数をつけられるべきは
そのキャッチフレーズに対してなのだ。
「ああ、今日の俺の褒め方はなかなかよかったな」
「くぅ、もっといいキャッチフレーズがなんで浮かばなかったんだろ?」
ってな具合に。

なので、これからボクは今後、若手の皆さんを見かけたら
手当たり次第に褒めて褒めて褒めまくるつもりだ。
かかってこい、ヤングジェネレーション!
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